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ベイビー・ブローカー

 拠ない事情で、急遽出演することになって、共同親権をテーマにした今朝の日曜報道 THE PRIMEにお呼ばれされ、いつものように恥を晒してきました。

 といっても、ぼくは、ヒール、とまではいかなくても、メインのコメンテーターの櫻井よしこさんに弄られる役回りで、地上波で、これだけ時間を割いてくれるのも有り難いは、有り難かったのですが、やっぱり、テレビはテレビで、賛成は青ボタン、反対は赤ボタンみたいな非常に簡単に過ぎる要約になってしまう憾みがありました。日頃家族の問題、つまりは、人間に巣を食ったところで飯を食っている弁護士としては、法制度を変えるぐらいで解決できるような、そんなに簡単な事じゃないんですけど、って、生身の人間の関係性、妻と夫、子どもと親、どちらも、心が練れてないと通じないような性質のことなんですけど、とお伝えしたかったのですが、これまた人生と同じくらい難しくて、なかなか手が届かなかったような、もどかしい気持ちを残しました。

 日曜日などといっても、その後も、仕事で、幾つもの家族の現場に立ち会って来たのですが、夜は、チケットをもらっていたこともあって、ずっと前から予定していた是枝裕和監督の映画「ベイビー・ブローカー」を妻と娘と観て来ました。

 冒頭「羅生門」のラストから引き継いだような、あたかも、オマージュのような雨降りから始まり、「雨あがる」のエンディングのように結論を見せないことで希望を語るラストまで、すべてのカットと台詞と、その音楽と、その演出に、正に心が練れた人の語る意味が映っていて、カンヌだけでなく、すべての権威ある賞に相応しい作品でした(感動の余り、椅子の上で身を捩ったり、喉や鼻を鳴らして反応してしまったので、妻の隣に座っていた娘にも、後で、うるさ過ぎと注意されてしまいました。)。(「万引き家族」のとき以上に、)血がつながっているだけが家族ではない、むしろ、血がつながっていないからこそ、家族と呼ばれる集合体が本来持つその本質的な要素が炙り出されていると感じられました。

 フジテレビの廊下にも、ベイビー・ブローカーのボスターあちこちに貼ってありました。機会があれば、櫻井さんにも観てもらえればなぁと夢想します。