The End of the World

 カーベンターズも,代表作の Now and Then で,Yesterdays once more に挟まれたB面のオールディーズメドレーの中に,ノスタルジックなものを具現化するかの様に,Tne End of the World を挿入していますが,2019年は,Rickie Lee Jones が,Kicks というカバーアルバムのクライマックスで取り上げました。

 この曲,ぼくはこれまで,Bill Frisell が97年に出した Nashville というカントリーアルバムの中で愛聴していたのですが,Kicks のバージョンもとても良いですねぇ。かけがえのないものを失った人の心のあり方が表現されているのですが,不思議と透明で,ぼくは晴れた日の朝の景色の中で聴くことを好みます。

 よく四十を過ぎたら自分の顔に責任を持てみたいなことが言われますが,政治家に限らず,世間の風に晒されてきた人の顔には,その人の歩いて来た道が刻まれていることは間違えないですね。声も同じで,60代も半ばに差し掛かった人が歌う End of the World には,言われなくても,これまで乗り越えて来たいくつもの出来事が音の中に含意されている様に広がって聞こえます。